作品の保護と問題対処について

【注意】この文書はサークル主宰さん向け文書です。一般向けと異なる記載があることをご承知おきください。


特に多数の方にご参加いただく作品を作る時に注意しておきたいこと、また認めなければいけないことを列記していきます。

  • 作品の使用について、リスナーさんとの約束事を先に決めておく
    作品保護に関してはこの方法が最善手かと思います。「うちはこういう約束です」と先に公言してしまうことで、それ以外を認めないというやり方です。
    これは意図しない作品の取り扱われ方を防ぐために有用だと思います。
    また、作ったものは単純な「べからず集」にせず「こうしてもらえるとうれしいな」ということも記載しておくことで作品を中心とした円滑なコミュニケーションを図れる効果も期待できます。
    アイシーエスでは「作品の使用について」で定義、随時更新を行うことで対処しています。この文書は2007年TBS初音ミク問題を契機に様々な視点から検討し現在に至っているものです。ご参考になさっていただければと思います。
  • 意図しない作品の取り扱いを現認した時
    作品の受け取られ方はひとによりさまざまですから、こちらが想像もしないような作品の取り扱われ方をすることもあるでしょう。
    しかしながら他人にこれを止めさせる方法はありませんし、止めさせてしまうことは相手の表現を制限・規制することにつながり、ひいては自身の表現も出来なくなる危険性を持っている行為であることに留意しなければいけません。
    実害がない限りひとつの意見として取り入れてしまうことも検討すべきです。もちろん悪意が明確で、伴って直接実害がある場合はこの例によらず問題対応にステップを進めることになります。
    (個人的な意見として実害があろうがなかろうが、その後意趣返しで何かというのが創作をする人としてはかっこいいんじゃないかなとも思いますが、これはサークル個別のカラーによります。)
    相手の表現を尊重しながらとはなりますが、こちらに影響はないかを精査するところからとなります。もし影響がある場合にはどのように対処するかを前もって取り決めておくことが肝要です。これは「作品の使用について」に記載しておくことで対応できます。
  • 実際に問題が起きた時の対応
    不幸にして実際に問題が起きた場合には感情に任せてむやみに情報を広めないことが第一です。(周りは本人に比べてそこまで深刻に考えていませんし、その後の対処の段階においては悪影響しか残りません。)
    あわてず以下の対処をしていきましょう。
    また、この作業は絶対に一人では行わないこと。
    複数人で確認しながら対処完了まで最善手を打ち続ける必要があります。
    可能であれば専任の担当者・問題に対して権限のある人を配置・招聘することも検討すべきです。
    問題の内容によっては必要な公的機関への相談を行うなど、「ここに問題が存在すること」を他の権限のある人に知らせておくことも重要になります。(後日問題が拡大した際に以前にお知らせしている旨を言えるため、状況によって対応レベルを上げる効果もあります)
    1)正確な情報収集(内容・影響範囲・状況の確認、視点は複数から見ること)
    2)情報に基づく影響度を査定する(複数の視点から確認すること)
    3)得た情報を影響度に応じて以下振り分けを行う
    A)すぐに取り掛かる必要のある対処(即時対応)
    B)比較的短時間で対処すべき内容
    C)即時の対処は不要・今後検討が必要な内容
    D)対処不要・検討も不要の内容
    4)上記で検討・振り分けした内容により、サークルとしてしかるべき注意や広報、場合によっては広く注意喚起を行う
  • 個人情報の取り扱いに細心の注意を払う
    個人情報の取り扱いは一歩間違えると社会的な責任を問われる他、信用問題に発展する問題になるため、その取扱いは細心の注意を払う必要があります。
    ここでいう個人情報とは「氏名、HN、住所、性別、メールアドレス、その他個人特定につながる情報および連絡先」のうち、広く公開されていないものすべてを指します。
    以下、アイシーエスでの運用例を示しながら解説していきます。

    • 責任者を明確にする
      通常はサークル主宰となりますが、その情報量や内容に応じて副責任者や専任責任者を設置し、相互に確認できる体制を整えておく必要があります。
    • 記録を取るようにする
      専用のメールアドレスを用意するか、グループで対応できるようなシステムを構築し、そこでやりとり(システムログインのログなども含む)の記録を取る仕組みづくりをしておく必要があります。
      アイシーエスの場合、一般的なヘルプデスク業務などで使われるOTRSをバックエンドに設置し対応しています。
    • 不必要なやり取りは行わない
      作品制作・頒布以外の不必要なやり取りは慎むべきです。
    • メーリングリストを活用する
      メールアドレスの情報漏えいを防ぐため、作品制作単位でメーリングリストを使用することを検討してください。送信時のメールアドレスは設定した1つで済むほか、作品制作にかかわる人全員に速やかに連絡できるため問題点の共有も早く行えます。
    • 使用しなくなった情報は速やかに処分する
      使用しなくなった情報については、一定期間保持はやむなしとしても速やかに削除することで、手元に情報を残さない仕組みを作ってしまったほうが確実な対処方法です。
      ただし、これは作品に何かあった場合に追って対処ができなくなることを意味するため、保持期間が問題になってきます。必要な期間を考えておく必要が出てきます。